養生学会
3月22日、養生学会で発表することになった。この日は前から仕事で香川県に行くことになっていたが、学会での発表が本決まりになったので、香川行きの仕事は理由を言って断らざるを得なかった。この学会は大学の身体論などの研究者が中心になっており、今年の年次大会で6人の研究者とともに30分ほど発表することになった。
テーマは「道教内丹法の修練の実際」。それに合わせてレジュメを作り、パワーポイントでの発表資料を作った。今年は都内の有名女子大学の教室で行われ、筑波大や横浜市立大の研究者に混じって発表を行った。昨年の年次大会では道教学の権威が「性命双修の内丹法」について話された。発表はまたたく間に終わり質問もいくつか出たが、それで終わった。 養生学会「ようせいフォーラム2008」における発表 「道教内丹法 修練の実際」 ―小周天、大周天から出神までー 1)日本での内丹法 内丹法についての研究は、日本でも古くから行われてきた。明治時代、大正時代にも資料は散見される。第二次戦後に五千言坊氏が始めた「仙道連」は現在も弟子たちに引き継がれ全国各地で地道な修練活動を行っている。五千言坊氏は北京・白雲観で仙道を学んだ元陸軍間諜で、戦後日本に本格的仙道の種を撒いた。その流れの中に仙道著作の多い小野田大蔵氏や「仙道用語・技法辞典」を編んだ畑中善一氏がある。 道教内丹法は中国六千年の歴史が生んだ養生法の精華であるといえる。「性命双修」と言われるように「身体」「意識」(神)をともに修練する。私は約25年この修練に取り組んできた。その体験から修練の実際を考えてみたい。 2)内丹法修練とさまざまな「験」 よく知られるように内丹法は「築基」「煉精化気」「煉気化神」「煉神還虚」「還虚合道」の5段階を順に踏んで「身体」と「意識」(神)の双方を修練し高めていく。そういう中で通常ではありえないような「験」(身体に現れる証験)をいくつか体験した。 始めて5-6年「煉精化気」の半ばの段階で体内に「気」が充満することが感じられた。この時「仙骨」への熱的集中を行ったところ、2週間にわたり身体が下肢、胴体、上肢から順々に40度以上の熱が発生。しかも頭は覚醒して夜寝なくて平気で活動的、動き回っても疲れない。高熱が翌日は頭に入れば死ぬと予感した時、ある技法を思いつき行うと翌日ウソのように熱は下がった。意識への集中のみで高熱が出たり下がったりする、人体の不可思議さを思った。 3)印象的な「大薬」の発生 「煉精化気」の終盤に突然起こる「大薬」の発生。「仙道」階梯の中の最大のクライマックスのひとつだと思う。「大薬」発生がなければ、その後「丹」は形成されず、「内丹法」は成立しない。「大薬」はねばねばした半透明の物質だが、これが突然ある朝肛門から出始める。それをその都度吸い上げ「督脈」から天頂にあげ、「任脈」を通じて下丹田に入れる。その時鼻腔から「大薬」が漏れ出る時がある。こういう状況が約1週間、朝となく夜となく続き、仕事中も突然出てくる。それを掬い上げ「小周天」ルートに引っ張り上げて下丹田に収めていくきます。約1週間すると、こんどはぴたりと「大薬」の発生が止む。 4)移胎 「大薬」を下丹田に入れると、約1ヶ月間は下丹田が電磁調理器で肉を焼くようなジリジリ感が下丹田に広がる。1ヶ月程すると止まるので、それを今度は中丹田に上げる。 そうするとまた約1ヶ月同じ感じが広がり止る。それをさらに上丹田に挙げると同様の現象が出てくる。 この「移胎」が終わると「十月養胎」と呼ばれる時期に入り、十ヶ月の間、自分の胎内に抱え育てる事で「聖胎」が出来上ってくる。この段階で行う修練は実際には「入定功夫」(神を落ち着かせる修練)。綿密に静かに意識をかけ落ち着かせることで、「元神」は発育・成長していく。集中しすぎることなく、茫洋とした包括的な集中を行う。 5)人間ソーラーカー このころ、「胎息」が始まり口鼻では呼吸をしなくなる。「僻穀」と言われる食べ物を食べない状況、「不眠」で眠らない状況が現れる。冬は手足は外気と同じくらい冷たく、そのくせ身体の芯は暖かい。冬眠中の熊的状態で、エネルギー消費量が小さくなるので食事量が極端に減る。大気から「気」を取り入れ、食物にエネルギーを頼らない「人間ソーラーカー」ともいうべき「エコ人間」が誕生。 6)個我意識の滅却 「煉神還虚」に入り、十ヶ月の間、坐忘が進み、定が深まると、手全体も、足全体も同様で一体感のある電磁現象が現れてくる。これは体内に「陽神」が固成されてきたため。 その後三年間は、ひたすら「神」(意識)の修練で泥丸(脳)への茫洋とした集中のなかで、「後天の神」の滅却をはかる。「後天」の神(意識)とは、人間の通常意識。つまり潜在意識や喜怒哀楽の感情、あるいは知識的思考など胎児から生まれ落ちてのち、瞬間瞬間に自己意識の中に蓄積されてきた「バグ」的存在の意識であり、人間生活の多くの部分を動かしている。これの「滅却」方法は言いにくいが、ヒトの意識の中から「後天的意識」を取り去っていけば、後には「先天の神」(先天的意識)のみが残り、喜怒哀楽の感情に惑わされることもなく、オレがオレがという個我意識もなくなる。これが「陽神」で、徐々に「無為自然」の中に入っていく。 7)出神 三年間「後天の神」の滅却をはかると、ある日「天花乱墜落」現象が現れる。それは「出神」のシグナルで、「陽神」(先天の意識)が天頂から体外に出るようになる。「陽神」は多分一種の「電磁体」で質もなければ形もない。その後六年間毎日修練をし続けると、「陽神」は時空を超越して広がり、洞察力、先見力、潜在能力の発露も顕わになり、生老病死の思念からも遠く、危地を逃れる機知も身についてくる。
by yuugean
| 2008-03-22 07:38
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