遊化の森

「小周天法」 その5

◆「後天」と「先天」
◆「後天の精・気・神」
◆「先天の精・気・神」 

さて続いて「小周天法」です。今回は前回にも出た「後天」と「先天」についての
感想を中心に書いてみます。仙道では「後天」と「先天」ということばがよく出て
きます。私の知る限り、神秘行法に類するものの中で、こういう考え方、こういう
言葉を使っているのは「仙道」だけであるように思います。それだけにこのフレー
ズの意味が心から理解できれば「仙道」のスケールや構想、そして行法の意味する
ところがひとつひとつ解けてくるように思うのです。

すでにこのメルマガでも触れましたが、仙道では「後天の精・気・神」があり、
「先天の精・気・神」があるという考え方をしています。そして仙道は結局のとこ
ろ「後天の精・気・神」を長い時間かけて修練によって、すべて「先天の精・気・
神」に変えてしまう行法にほかなりません。それでは「後天の精・気・神」とは何
でしょうか?ここに普通の20歳の男性がいるとします。この男性が自分の人間の
中に持っているものは、通常は「後天の精・気・神」です。それを身の内に抱えな
がら人は一生をおくります。勿論30歳であろうが、50歳であろうが、あるいは
女性であろうが、通常はみな同じことです。人間が生れ落ち、生きてくる過程で獲
得してきた「精・気・神」は全て「後天の精・気・神」です。それでは「精・気・
神」とは何でしょうか?仙道の「三種の神器」という言われ方をしていますが、抽
象的でいざ説明するとなると難しいものです。なぜ「三種の神器」かというと、仙
道の過程は、すでに触れたように、まず「精」と「気」を合体させて「キ」という
物質をつくるのが「煉精化キ」といわれる第二段階(第一は築基)。そしてこの
「キ」という物質を修練によって「神」に変えてしまうのが「煉キ化神」といわれ
る第三段階で、全て「精・気・神」によって行われる行法だからです。

単純にいえば「精」は生命力のもと。肉体の筋骨を始め内臓、内分泌物など生命を
形作る物質。「気」はそれらを動かし、働かせているシステム。「神」はそれら全
てを統括している意識。人間が生まれて以来、自分の体内に獲得してきた、これら
が「後天の精・気・神」。精・気・神の三つは互いに密接な関係をもち、切っても
切れない関係が出来上がっているというのが仙道の解釈です。仙道的にみれば、多
くの人はこの世界で生きていく過程で、それら後天の「精」や「気」や「神」を浪
費しています。日常的に唾液や精液を体外に放出し、「気」を使って内気を放出、
いろいろな想像や喜怒哀楽の感情を日日浪費して「神」をすり減らしているという
のです。それらが互いに相関して「生命」を減らし「病気」を生み、「老い」や
「死」を招いているというのが仙道の解釈です。

それらを免れるには、これら「後天の精・気・神」を「先天」のものに作り変える
こと。いや時間をかけた修練によって人が生まれる前、「胎児」の時代には持って
いて、成長とともに閉ざされ、人間の体内に潜んでいる「先天の精・気・神」を呼
び覚まし「後天の精・気・神」と入れ替えることによって、それが可能になるとい
うのが仙道の考え方です。そのため、仙骨などに潜んでいる「先天の精」を呼び起
こし、眠っている「奇経八脈」を開発し、体内に眠っている「内気」つまり、先天
の「気」を呼び覚まして、「奇経八脈」を通し、「胎息」を得て坐忘によって「後
天の神」を滅却して「先天の神」に全て入れ替えてしまう(陽神)。こうして体内
が「先天の精・気・神」に満たされることによって、「後天の精・気・神」のみで
生きて人生を終わる通常の人達とは違った「永遠の生命」を得ることになるという
考え方です。「六通」といわれる超人的能力はこの過程で得られ、最後に「悟達」
に至り、生老病死からも解放されて、この世界や事物に一切の執念がなくなれば、
それは「永遠の生命」を得たことでもあるのです。ある意味では自分の肉体をベー
スにしたひとつの実験だといえなくもありません。
by yuugean | 2002-09-16 17:11 | 内丹法を修練する
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