遊化の森

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仙道三つの宝  

◆ 生命力の源。
◆ 「精」は仙道修練の基本物質「キ」の原材料。
◆ 「唾液」も「精」のもと。

例年よりも二週間も早く桜が咲き、もう散ってしまいました。先週は箱根に
1泊2日の小旅行。太極拳のグループ有志の、気のおけない楽しい温泉旅行で
したが、箱根の山の上はさすがに気温は低く、桜もつぼみのままでしたがきっ
と今頃は満開なのでしょうか?

さて「仙道三つの宝」といわれるもののうち、「神」「気」については少し書い
てきました。今回はもうひとつの宝―「精」です。
「精」というのは生命力と申しましょうか。「生命力」を生み出す源といいまし
ょうか?例によって「かたち」がありそうでないような概念です。「精」「気」
「神」の三つとも一見抽象的で、西洋的思考からは説明しがたい。わずかに、
シュタイナーなど「神智学」系の人達が唱えているものと似てはいますが、こ
れももとは東洋的概念を西洋に移植したもので西洋的な装飾を施された東洋学
であるように思われます。

さて「精」。仙道修練の上から言えば、それは直接的には「精液」「津液(唾
液)」「内分泌液」のようなもの。これは生命活動を司る「精」が液体という
かたちになって現れていると考えられています。「精液」も「唾液」も人外に
出した場合にはかたちあるものとして目にすることが出来るのですが、ヒトの
体内にある精液・唾液の姿について、その根源について通常は眼にすることが
できません。

仙道の修練では第二ステップは通常「錬精化(キ)」と呼ばれています。中国の
料理の名前をみれば分かりますが、料理の名前の中に材料と調理方法が書かれて
います。たとえば「紅焼魚翅」(ふかひれスープ)は「魚翅」(ふかひれ)を
「紅焼」(とろみをつけて煮込む)したもの。「乾焼蝦仁」は「蝦仁」(芝え
び)を「乾焼」(とろみをつけて煮る)したもの。つまり「海老のチリソース
煮」です。このやり方でいくと「錬精化(キ)」というのは「精」を錬って、
「(キ)」にするという修行ですが、「精」と「気」を何度も小周天ルートで
練り上げることによって「(キ)」という全く新しい物質を作り上げることを
意味します。この時に司令官として活躍するのが「神」(意識)です。体内に
ある「精」と「気」を合わせ小周天ルートを周流させるのは「神」(意識)に
導かれて行う修練ですが、同時にその「精」と「気」を合体させ、体内に「高
い熱」を発生させ「精」と「気」を化合させて「キ」という新しい物質を作る
のは「神」の集中力によります。

「精」はいわば自分の体内で「キ」という新しい物質を作るための原材料で
す。ですから仙道修行にとっての大切な宝「精」をむやみやたらに、体外に放
出することはいいことではありません。「精液」ばかりでなく「唾液」もそうで
す。生まれつき「唾液」の多く出るヒトがいますが、こういうヒトは本当は
生命エネルギーの強いヒトです。それを「唾を撒き散らす」ような話し方で
体外に出すのは勿体無いことです。太極拳などをやって身体に気がまわり始め
ると(もっとも舌を上顎につけることが必要ですが)「唾液」がやたら出てきま
す。こういった「唾液」は呑み込んで下丹田に収めることです。

若いヒトにとっては性衝動を抑えることは大変困難なものです。あまり「抑圧」
するのはいけませんが、最初の半年ぐらいは意識を出来るだけ「性」から外し
て「精液」が体外に出るのを防ぎ、体内に「精液」を溜めることです。昔中国
の仙道修練者の中には、性衝動を抑えるために性器をちょんぎった修練者がい
たという事ですが、そこまでやるのは何かモノマニヤックで正道から外れてい
るように思います。要するに過度にならず、コントロールするという姿勢が必
要ではないかということです。自分の体内の「精」を使って「炁」を作るとい
う「世紀の」実験を始めたわけですから、しばらくはその実験を自分の身体を
使って試してみるのもいいのではないでしょうか?

「精」の問題は、実は食物に関係してきます。そこで仙道では生命力をつける
食物に注目してきました。これについては「抱朴子」などの書物に詳しいので
ここでは割愛します。これに関連して仙道には独特の食事法があります。「素食
法」「木食法」「木餌法」がそれで、この順番に高い境地になる行だといわれま
す。

 「素食法」 これは食物を煮たり焼いたり、味付けしたりしないで自然のま
       まで食べること。植物性のものを主とし、魚は小さいもの。蛋
       白質は黒豆、大豆をあてる。肉食は避ける。味付けは淡白にす
       る。
 「木食法」 木の実を中心に花、葉、根などを生食(なまのまま)する。
       五穀(米、麦、ひえ、あわなど)は食べず。そば粉などを食す。
 「木餌法」 草木の芽、蕾、熟しかけの木の実ばかりを食す。

「文中」に「キ」とあるのは、特殊文字辞書にはあり表示されるのですが
メールマガジン上では表示できませんのであえて「キ」にしました。
by yuugean | 2002-03-29 17:29 | 2002

 「気」の運用

◆ 仙道「導引」には4つの訣あり。
◆ 「導引」は「奇経八脈」を使う「動く大周天法」。
◆ 「仙道」そのもの「動く坐忘」―それが「太極拳」。

引越しでしばらくインターネットが使えず、お休みしました。便利なようで、
不便なものですね。このところ身の上にも大きな変化がありました。妻子と別
れて住む経験。別に何も無いのですが、何か「日常」的なことが面倒になって
きました。それも何か、自分でそうするというよりも、そういう方向にどうし
ても向いてしまう。その方向へ、その方向へと導かれてしまう。そんな感じで
した。住む場所も東京郊外の静かで日当たりのいい住居に変わりました。「仙
道」にとってはやはり、緑が多く、小鳥の声があちこちで聞こえ、陽あたりの
いい「気」の横溢した、場所はいいですね。
そんなこんなでしばらく休んでしまいました。この3ヶ月僕にとっては何もか
も大きな変化。結局捨てるべきは捨てるーそういう方針できたらこうなったと
いうことです。「大死一番」。「禅」ではこういうそうですが、全てすて去ること。
世間的には決して褒められたものではありませんが、まあ短い一生ですから。
          愚歌一首
    なにほどの  ことのあるかや  人の世の
    からくれないを くくりこし   身は

さて今回は「導引法」です。内丹法の築基段階にとって「導引法」はさきの「
服気法」とともに重要なアイテムです。もっともこのふたつは「築基」に限ら
ず、仙道の全教程を通じて常に修練を欠かさず深めていくべきものであること
はいうまでもありません。「導引」「服気」「内功」(坐功)はむしろワンセット
になった「仙道」のカリキュラムで、仙道はその「内功」部分をさらに突っ込
んで意識が「元神」そのものとなり、さらに「出神」にいたるまで修練を続け
るわけです。仙道修練をめざす人が、ただただ「内功」のみで高みに上ろうと
しても、それは「座禅」「瞑想」と何ら違わない。それはそれで大変に意味のあ
ることですし、その分野でも「高み」に上ることは並大抵のことではありませ
んが、仙道は大気(宇宙)中の「正気」を体内に取入れることが第一、内身の
「元気」「元精」を呼び覚ますことが第二、内身の「元神」を覚醒させ、強化す
ることが第三の要諦であり、それが一体となっている修練法です。「性命双修」
といわれるのはそのためです。大気中の「正気」を取り入れ、体内の邪気をは
らう「導引」「服気」はつねに深く修練していく必要があります。

さて「導引」ですが、これを言葉だけで説明しょうとすることにはあまり意味
がないと思っています。本来身体で演じるべきものだからです。それでも「導
引」が決して単なる「ラジオ体操」でないという点があります。仙道の体技に
は身体の動きにあわせて「意識」を働かすことが各方面で出てきますが、「導引」
はまさにそれで、単に身体を動かすのではなく、つねに「意識」を働かしなが
ら、それに沿った動きをやるわけです。むしろ「動き」は没却して、「意識」を
主にした動きが必要なわけです。これは少しわかりにくいと思われますが、そ
の「意識」というのは実は「元神」の動きにまで高まる事が必要です。「導引」
の集大成というべき「太極拳」の動きは実は「坐忘」の状態で行うのが本来の
形なのです。身体を動かそうとする「意識」ではなく、それを没却して、心身
脱落の状態で、身体が「元神」のままに動いている。それが「太極拳」の要諦
です。「太極拳」が仙道そのものであることはここからもわかります。「動く坐
忘」――これこそが「太極拳」の本当の姿です。

したがって仙道の「導引」には次の4つの訣があります。それは
? 「習   型」――まず「カタ」を覚えること。
? 「伸筋放毒訣」――手足の筋肉を動かす時に、同時にその箇所から体
           内の汚濁の気を放出することをイメージする。
? 「展くゎ通関訣」――体内にある奇経八脈のツボを展き関を通じさせ
           る。導引する場所の「奇経八脈」に気が流れる様
           を観念でなぞり、最後に中黄(下丹田)に収める。
           (導引の動作にあわせ吐気しながら行う)
? 「引火帰源訣」――これは手足の気を納気しながら「奇経八脈」を通
           して最後に中黄(下丹田)に収めるもの。
           (導引の動作にあわせ納気しながら行う)
「導引」を行うに際して、「型」を覚えるのは当然で、??は時間を掛け
れば誰でも習熟できますが、??は「大周天法」の行で、いわば「動く大
周天法」であり「奇経八脈」を開き、修練に修練を重ねて導引にあわせ気
を周流させることが必要です。「導引」が「仙道」そのものであることが
よくわかると思います。

それでは「導引」の代表的な類型について述べます。「導引」には実にさ
まざまなものがありますし、具体的には何らかのグループに加わって修練
しないとうまくいきません。また体技の動きや技について文章で述べるの
には無理がありますので、「おすすめの導引」の概略にとどめます。
 「老子法」  仙道の始祖・老子が日常行っていたとされる最古の「導
        引法」。「足指の摺り合わせ」から始まって「足関節」「膝
        関節」の屈伸、腰の屈伸、手足の伸長、眼の運動、顔面
        摩擦、叩頭、叩歯、払耳から逆立ちなど、36の動作を
        行うもの。おもに早朝や夜寝るとき、寝床の中で行い身
        体を目覚めさせたり、寝る準備をさせたりする為に行う。
 「八段錦」  有名な動功ですが、いろいろの流派があります。しかし
        八つの動作を、それぞれ身体の力を抜いてやることでは
        共通しています。動功でありながら下半身はほとんど
        動かず、どこでもできます。簡単な八つの動作の中に
        経絡への配慮が行き届いています。「一段錦」(両手を
        前で組み、目の前に上げる)から徐々に身体全体に広が
        って動作していきます。「五段錦」(両足を開き、上体を
        折り曲げて両足の間を往復する)のようにかなりきつい
        動作もありますが、全般的にはゆったりとした動作の連
        続で「八段錦」までアット言う間です。
 「太極拳」  仙道体技の集大成というべき動功です。もともと漢の医
        者華陀が編み出した「五禽舞法」(熊、虎、鹿、猿、鳥
        の動作を真似た拳法)があって、それをベースに元の張
        三ボウ仙人(拳仙)が編み出した内家拳。「99式」と
        いわれる通り99の連続動作を演じる。99すべてに
        動作の名前がつけられている。たとえば4(右琵琶勢―
        琵琶を抱く形)、5(覧雀尾―雀の尾を攫む)、9(白鶴
        亮翅―白鶴が翅を広げる)というように優雅な名前が、
        99の動作全てにつけられている。これらの動作を「坐
        忘」のままに行ずることが出来れば張三ボウ仙人が目
        指した「太極拳」の真義を会得することができる。
        今日では99の動作を簡略化した「24式太極拳」など
        もあり、比較的激しい動作の連続する「陳式太極拳」も
        ある。
by yuugean | 2002-03-17 17:30 | 2002



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