遊化の森

「小周天法」 その2

◆ 導引の例
◆ 八段錦を修練する
◆ 八段錦はよく出来た「導引法」 

さて前回はひとつのカリキュラムを例示しましたが、これは勿論、多くの修練のや
り方がある中のほんの一例にしかすぎません。皆さんが修練される場合の参考にな
れば幸甚です。個々についてみていきましょう。導引については「体技」を言葉で
書くのはあまりふさわしくありませんが、大体このようなものという概略を頭に入
れてください。まず?の導引です。
?導引      
「内丹法」がメインですから、導引については何でもいいから気のめぐりをよくす
る運動をと書きましたが、やはり正式には皆で集まって修練する場合にもふさわし
い「八段錦」がいいと思います。この「八段錦」はよく考えられた導引法で「太極
拳」の準備運動として使われます。基本は調身・調息・調心。これは身体(姿勢)
と呼吸、心をそれぞれ整え、さらにその3つのバランスを整えることを指します。
日常生活でこの3つを同時に意識することは難しいのですが、八段錦をしていると
自然にうまくバランスを整えられます。
立禅
まずは太極拳や八段錦の稽古の最初と最後にする「立禅」です。立禅とは呼吸を深
く静かにし心を落ち着けること。まず、両足を肩幅くらいに開いて立つ。体重を両
足に等しくかけて、背筋を正し、ひざや肩、両腕の力を抜く。呼吸は腹に空気を入
れる意識で深く長い腹式呼吸を心がける。その時鼻から息を吸い、心をリラックス
させて、へその下3センチメートルくらいの丹田(たんでん)と呼ぶ体の中心を意
識します。目は半眼か、自然に閉じ、鼻から静かに息を吐きます。
第一段錦
 両足を肩幅程度に開き、ひざの力を少し抜き、背筋を伸ばし、腕の力を抜いて立
ちます。この姿勢が基本。へそのあたりで手のひらを上にして両手を軽く組み、大
きく息を吸いながらその手をゆっくり顔の前まで持ち上げていきます。顔の前で手
首を内側にし、手のひらを下に返します。
 今度はゆっくりとおなかの中の息を吐きながら手を下ろしていく。下腹まで下げ
たら、もう一度、息を吸いながら手の甲を上にして組んだ手を上げていく。顔の前
で手のひらを外側に、さらに天に向けて両手を頭上まで上げます。組んだ手をほど
き、息を吐きながら左右に大きな円を描くように手を下ろし、基本の姿勢に戻しま
す。
第二段錦
まず足を広めに開き、ひざを曲げて腰を落として立ちます。ちょうど馬にまたがっ
たような格好なので騎馬立ちといいます。手は自然に前に下ろし両手を軽く握り、
息を吸いながらゆっくり胸の前まで持ち上げます。 胸の前で左手でVサインを作
り、息を吐きながら右手を弓を引くように右胸に引き付け、左手のVサインを左横
に押し出します。視線はV字の間に合わせ、じっと見つめる。この時、肩甲骨を触
れあわせるつもりで胸を大きく広げ、血液に酸素をたくさん取り込むようなイメー
ジを抱きます。弓をひくポーズで一瞬の間をとったら、息を吸いながら両手を胸の
前に戻し、吐きながら前に下ろす。同様に今度は右手を右横に押し出し、左手を引
き付ける。このとき胸に引きつける腕のひじが下がらないように注意します。騎馬
立ちの姿勢は太ももに負担がかかり、最初は足腰に緊張を感じます。だが何度も繰
り返すうちに足腰が鍛えられて苦しくなくなってきます。八段錦や太極拳ではその
姿勢を保つことよりも、無理をせず、体の運動に合わせて心と呼吸を整える運動を
続けることが大切。
第三段錦
まず足を肩幅に広げて全身の力を抜いて自然に立つ。背筋を伸ばし、ひざはゆる
め、腕は楽にして体の横に下ろします。呼吸を整えたら両手の手のひらを上に向
け、ゆっくり息を吸いながらあげます。顔の前で手のひらを返し、今度は息を吐き
ながら両手を下げていきます。みぞおちまできたら、息を吸い込みながら左手を上
に、右手を下に動かします。左手が頭上にきたら、息を吐きながら左手だけを下げ
ていき、最初の自然に立った姿勢に戻ります。この一連の動作を、今度は左右の手
を代えて繰り返します。 動作は簡単ですが、実は呼吸が大切。細く、長く、深い呼
吸を心掛けます。
第四段錦
第四段錦は(五労)といわれる心・肝・脾(ひ)・肺・腎の5つの内臓の疲れと、
七傷といわれる慢性的な体調不良、例えば便秘や精力減退などを改善していく運
動。動きは簡単なので、体が重いときなどに稽古(けいこ)すると血行がよくなり
ます。 体の力を抜いて自然に立ち、意識をへその下約3センチメートルの「丹
田」に沈めながら呼吸を整えます。息を吸いながら両手を大きな風船を頭上に持っ
ていくように、手のひらをかえして息を吐きながら下ろします。 同時に首をゆっく
り左へまわし、意識を丹田から右足に土踏まずに移動させます。お腹の息を吐き切
り、両手を下ろし切ると同時に首を真横に向ける。このとき、肩が動かないように
注意。そのまま一瞬の間をとったら、息を吸いながら首を正面に戻すように回し、
両手を顔の前にまであげていきます。元の姿勢に戻ったら、同様の動作を繰り返し
ます。最後に息を切ったら、次の吸気で手のひらを顔の前まで戻し、顔も正面に戻
します。背骨がまっすぐであるように意識してゆっくり深い呼吸で行うのがコツ。
第五段錦
第五段錦は副交感神経の働きを促す運動なので、精神的な疲労の解消に役立つ。 両
足を肩幅よりも大きく開き、腰を落として騎馬立ちになります。手の親指を外側、
他の指を内側にして太ももを軽くつかみます。このとき、腕を自然に張り、目は正
面を見る。最初に大きく息を吸い込み、次に息を吐きながら腰を軸にして上半身を
ゆっくりと右から左に回転させます。頭から背骨までは一本の棒が入っているよう
な意識を持って背筋を伸ばし、頭で半円を描くつもりで行います。腰は回転の軸な
ので動かさないように。 頭が左ひざの上まできたら、息を吸いながら右ひじを伸ば
し、顔だけゆっくりと右に回して右足の土踏まずに目線を向け、一瞬の間をとりま
す。息を吐きながら視線を左ひざの上に戻します。息を吸いながら上半身を元の位
置まで戻し、顔を正面に向けて息を吐き、騎馬立ちに。同様に今度は左から右へ回
転します。 首と肩の緊張をほぐして血液の循環を促すほか、騎馬立ちの姿勢が足腰
を強化し、ヒップアップにも効果があります。肉体的に、ややきつい運動なので無
理せず、少しずつでやります。
第六段錦
体を大きく動かし、内臓を刺激する全身運動。第六段錦では上半身を開放する意識
を持って筋肉を伸ばし、内臓を動かす。 足を肩幅に開いて背筋を伸ばし、自然に立
ちます。呼吸が整ったら、両手のひらを下に向け、そのまま息を吸いながら肩の高
さまで腕を持ち上げ、息を吐きながら下ろします。手の甲側に手首をやや曲げて、
下ろした手を少し後ろに引く。そのまま手首を前方に出し、肩を中心に弧を描くよ
うにして頭上まで両手を上げます。 両手が上がったらひじ、脇腹、腰を伸ばすこと
を意識し、さらに右の手のひらを天空を押し上げるように上に伸ばします。左も同
様にし、左右交互に伸びをします。息を吸いながら両手で天井を押し上げるような
イメージで。今度は両手を上げたまま腰を中心に、上半身を右から左へと大きく三
回ほど回転させます。左から右へも同じ回数だけ回す上体を倒しながら息を吐き、
起こしながら吸うように息をします。 再び両手で天空を押し上げるようにして上体
を左右に伸ばします。そして腰を中心にして息を吐きながら手を地面に付けるよう
に上体を曲げていく。下ろした両手で、足の外側後方から足首をつかみます。しば
らくその姿勢を保って息をゆっくりと吸いながら上体を起こし、最初の姿勢に戻り
ます。目は両手の指先を追うようにします。
第七段錦
八段錦の中で、最も力強い動作となるのが第七段錦。全身の筋肉を動かすため、男
性にはたくましい骨格を作るエクササイズとしてもおすすめ。 まずは両足を大き
く開き、両手は前に下ろして腰を下ろし、馬に乗るときのような格好の騎馬立ちに
なります。呼吸が整ったら両手で拳を握り、息を吸いながら胸の高さまで拳を引き
上げます。ゆっくり息を吐きながら左拳を左前方に突き出し、同時に右拳は腕を水
平にしてななめ後方に引く。このとき、目は左の拳を追います。 息を吸いながら両
拳を胸の前に戻し、いったん息を吐いたら両方の拳を胸の前から頭上に上げます。
両腕を頭上に上げたら拳をほどき、息を吐きながら体の横に大きな円を描くように
両手を下ろしていき、最初の姿勢に戻ります。今度は右側。再び息を吸いながら拳
を引き上げ、右拳を右前方に突き出します。
 第八段錦
つま先立ちをして肛門(こうもん)を引き締めたら、かかとを落とすだけの運動。
だが全身にほどよく振動が伝わり、硬くなった関節をほぐしてくれます。
 まず両足に拳一つほどの間をとって立ち、呼吸を整える。ゆっくりと息を吸いな
がら、手のひらを下に向けて両手を肩の高さまで持ち上げ、息を吐きながら両手を
下ろします。そのまま今度は息を吸うのに合わせてゆっくりとかかとを上げ、つま
先に体重をのせます。下腹をへこませ、肛門を締める意識を持って息を止め、しば
らく間をとります。全身の力を抜き、かかとを軽く落として口から息を吐く。床が
硬い場合には過度の衝撃が加わらないようにひざで調節します。ひざをかかえこむ
ように腰を深く落として屈伸するのもいいです。
by yuugean | 2002-09-01 17:16 | 内丹法を修練する
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